フィルジョーンズ渾身のクリーンギターアンプ
PJBファクトリー情報その3はPJBのベースアンプから離れて、開発まっただ中のギターアンプを紹介します。
モデル名はONE TWELVE (ワントェルブ)とONE EIGHT(ワンエイト)。 PJBがベースアンプのブランドなのに対し、同じフィルジョーンズの設計ながら、このギターアンプにはAIR PLUS(エアーパルス)というブランドがつけられています。しかもクリーンサウンドが特徴のPJBと同じコンセプト、どこまでもクリーンなアンプという性格をもったギターアンプです。
12インチ一発と8インチ1発の2タイプで、アンプ部はどちらも500Wの大パワー。500Wと聞くとどんな大音量かと思われますが、パワーと聴覚上の音量は比例するわけではなく、むしろダイナミクスや音質の方に大きく関わってきます。通常のギターアンプは歪んだドライブサウンドを持っていますが、これはまったく逆で、大音量でもひたすらピュアでクリーンなサウンド。今時のアンプとしては、意外とありそうでないタイプ。フィルジョーンズによれば、ギタリストがギターとペダルで作り込んだサウンドを正確にピュアに大音量で増幅することのできるハイファイギターアンプというコンセプトです。
上面と背面にコントロール。外部入力ジャックやセンドリターンジャックも備え、それぞれのレベルコントロールまで備えています。このあたりは音響技術社出身のフィルならではこだわりというか、通常のギターアンプを越えて、マルチ入力のPAアンプとしても利用できそうな拡張性が見られます。
そして最大の特徴がベンチレーター構造。といっても外観からはよく分かりません。よく見ると上部のハンドル部分のパネルには細い溝が空いています。そしてこの反対側、キャビネットの底にもポートが設けてあり、底部から上部に向かってキャビネット中心を空気が通る構造になっているのです。これによりオープンバック的な抜けのよいサウンドと得ると共に、スピーカーの駆動による熱エネルギーが上部から抜ける事で、大音量でも安定したスピーカー性能を維持。500ワットという大パワーをスピーカーが受けても、このベンチレーターがスピーカーの暴走を抑え、安定したクリーンサウンドを再生し続ける仕組みです。
小型の8インチスピーカーのタイプはスタンドに立てることもできます。
アンプ自体がきわめてナチュラルで力強い音のため、フィルが説明した通り、エフェクトの乗りも抜群。
テストをしているのは、設計者フィルジョーンズの兄でプロギタリストのスティーブジョーンズ。自分の機材を持ち込んで、音質やエフェクターの掛かり具合などを確かかめています。
ひと通り一人で弾いた後は、兄弟そろってセッションに突入。製品開発の一環ですが、なんだかリラックスして演奏を楽しんでいる感じ。
このギターアンプも完成形かと思いきや、まだまだ開発段階。フィルジョーンズの製品は、サウンドと品質をとことんまで突き詰めて完成されるため、一旦形になっても、かなりの時間を掛けてテストを繰り返し、完成度を高めてから製品となります。このアンプに関しても最新情報は随時ご報告していく予定です。
テスト終了後、事務所でパチリ。左からSteve Jones, Yoshi(筆者), Phil Jones, 開発責任者のTony 。